「実はな、おっとうたちの結婚式のビデオが出てきたんや。8mmの。」
先月実家に帰って、夜ごはんを食べて居間でのんびりしている時にイソイソとおっとうが言い出した。まじで?最高やんそれ。見ようよ。そう答えるとおっとうは嬉しそうにそのDVDの用意を始めた。マメなおっとうは、すべてのホームビデオをDVD化しているのだ。キッチンで一人片付けしているおっかぁは、「見らんでえぇそんなん!」と抗議の声を上げているが、おかまいなしに私たちは期待の眼差しを画面に向ける。
かなり手間取ったあげくスタートした映像は、8mmビデオらしくザラザラで、色褪せていて、でもなんだか味があって…どういうわけか、最初から泣きたくなってきた。ニコッと笑って撮られた結婚式の写真とは全然違う、ちゃんと動いて、笑って、恥ずかしがってる若き2人をみて、なんとも言えない不思議な気持ちになった。当たり前だけど、彼らは私の両親である前に2人の男女であって、私の知る由のない2人の甘く切ない(かもしれない)歴史、更に言えばその前に各々の青春の歴史があるんだなって…その当たり前の事実のパンチの強さに頭がフラフラとなってしまった。
司会の人に「お二人はお互いを何て呼び合ってるんですか?^^」とマイクを向けられて、恥ずかしそうに「ジュンちゃんです..」というおっとうと、もっと恥ずかしそうに(10秒くらい溜めて)「ひであきさん…(照)」と言うおっかぁが可愛すぎて、なんなんだ一体(笑)って思った。しかし一番可愛かったのは、せっかくの誓いのキスシーンをピンポイントで全力早回しした現在68歳のおっとうですが(「いちばんいいとこやんか!なにやっちょんの!!と全力で不満の抗議をしましたが、結局見させてもらえず。恥ずかしいなら見せんでいいのにと思いつつも、それでもシェアしたいくらい多分おっかぁのことが好きなんだろうなぁとか勝手にホクホクする結論を出しました。)
ビデオに映る22歳のおっかぁは今よりふくよかで、ほんとに可愛い娘さんで。
こんな娘が10年後、大量出血しながら私を産んでくれるのかと思うと、なんとも感慨深かったのです。
そんなわけで、ハッピーMother’s Day.
今年は、彼女に似合う薄いピンクの紫陽花の鉢植えと、香りの良いフランスの紅茶を送りました。
産んでくれて、ありがとう。